家が建つのは、目の前に小川が流れる静かなまちの一角。
南側には視線が抜け、空と松並木が広がります。そこにどんな住まいが建てられるのか、暮らしがどう育つのか——そんな期待を抱いて、家づくりが始まりました。
「かっこいいけれど、スタイリッシュすぎず、暮らしのなかに自然と溶け込んでいくようなデザイン」に惹かれたと言います。見た目の印象だけでなく、予算配分のバランスや、使い込まれていく前提のような“素朴さ”にも安心感を覚えたそうです。
打ち合わせは、間取りや仕様を決める時間というよりも、「どんな暮らしを思い描いているか」を丁寧に言葉にしていくようなやりとりでした。持っている家具、今の生活、そして将来の子育てのこと。設計者も同じく子育て中ということもあり、細やかな視点が随所に活かされていたと話します。
敷地の制約を受けながらも、2階に設けたLDKは、驚くほど広がりを感じさせてくれる空間になりました。窓の配置や視線の通り方には特に配慮がなされており、「必要なところにだけ、ちょうどよく“抜け”がある」。そのバランスが、日々の暮らしに心地よさを生んでいます。
設計過程では、リアルタイムでの3Dイメージ共有がとても助けになったとのこと。完成像が具体的にイメージできるからこそ、決断もしやすく、家づくりに伴う不安がぐっと減ったと話します。工務店とのやりとりや細かな調整も含めて、安心して任せられたと振り返ってくれました。
完成した家には、家族それぞれの“好きな場所”があります。
小さな家のなかで、のびのびと過ごせること。住まいにぴったり収まることよりも、少しだけ余白があること。それが、暮らしの豊かさを支えているのかもしれません。